霊感商法とは、言葉たくみに依頼者の不安をあおり、物品や祈祷によって高額な料金を請求するという悪質な詐欺商法です。
いろいろなパターンがありますが、大体が占い師や霊能力者を名乗るようです。
それは「目に見えない世界を根拠に、不思議な力でそれを解決する」というのが彼らのやり方だから。
私たちが見えない事をいい事に、様々な言葉でゆさぶりをかけ、ある時は無理やり、そしてある時は執拗に言葉を重ねて、巧みにお金を支払わせようとするのですから、注意が必要です。
その被害者の声の多くが、占いサイトや対面占いという身近なところから、いつのまにか霊感商法に巻き込まれていた…というケースがほとんどであることから、いかに日常生活に違和感なく溶け込んでいるかを知ることができますよね。
今回は、様々な霊感商法にひっかかり、愚かにもお金を支払い続けた私が、霊感商法を得意とする詐欺師の手口を徹底解析。
7つの手口を実体験に基づいてまとめました。
手口1:「呪われている」
「誰かに呪われている」と宣言され、今あなたが不幸なのは全て、この呪いが原因ですと言い切られます。
私の場合はある程度占いを通して交流があった先生からの一言でしたが、対面占い、電話占いでこのフレーズを言って「除霊」なり「波動修正」なりに持っていくパターンも存在するのだとか。
こちらは先に占い師や霊能者に対して「悩み」を伝えている点と、相談者(私)がどうなりたいかを占い師や霊能者に知られているという点が、私たちを圧倒的に不利な立場に落とし入れます。
この状態はいわば鉄砲持った戦士に、下着姿でファイティングポーズを取ろうとしているのと一緒!相手にこちらの弱点がもろバレしているので、相手はもう銃口を向けてひたすら撃つだけ。
「彼を狙っている女からの呪いよ。そんなのに邪魔されて悔しくないの?」「あんたが今不幸なのは、この呪いのせい。呪いを解いたらよくなるわ」「すぐに効果が現れます。騙されたと思って一度やってみたら? 料金は安くしておくわよ」など。
私たちの心には、グサグサと魅力的な言葉が浴びせられるのです。
そして心がふらついてしまう理由に「呪い」という概念は私たちにとって身近であるということが挙げられます。
呪ったり呪われたりというのはしばしば漫画や映画に出てきたりするので、そういった面から、私たちの頭の中に「呪いは怖い」というイメージがついてしまっているのですね。
ですから全てのことは呪いのせいと言われてしまうと、そうなのかと納得しやすく、その心理を詐欺師は心得ているのです。
手口2:「除霊してあげる」
占いが好き、霊感占いが好きという人は、多少なりとも霊が存在する世界を信じている傾向にあります。
そもそも、その神秘的な霊の力や第六感を目当てに、私たちは霊感占いを試すわけで…。ですから、「霊」に関する怖いことを言われたら、とっさに目の前の霊能者にすがりつきたくなるというのは、人間誰しも持っている普通の感情ですよね。
特に怖がりな人ならなおさら、霊能者から「悪い霊がついている」なんて言われたら即金払ってでも除霊してもらいたくなりますし、人というのは不思議なもので、「霊がついている」と言われると、部屋がミシッと鳴っただけでも霊の仕業だと思ったり、ちょっとした静電気でも霊の怒りだと感じたりという一種の洗脳状態に陥る要素があります。
自分で霊を払えないという事もミソ。誰しも霊がついていると言われていい気持ちになる人はいません。
そのあたりも詐欺師は心得ていて、巧妙なのです…!
Checkpoint・本当に霊に憑かれているというのであれば、「どういった人がどういった経緯で取り憑いているのか」を尋ねてみましょう。
そこで縁もゆかりもない人間が出てきたり、不明瞭な答えが返ってきた場合は一旦持ち帰って検討するのが良いでしょう。
縁もゆかりもない人間は地縛霊といい、それが人間に取り付くのは日常によくあることのようです。
そしてそういった人たちは時間が経てば離れて知ってしまうので、特に問題視する必要はありませんし、言ってしまうと占い師に指摘される以前にも、あなたは取り憑かれていたという可能性もあるのです。
しかし、もし知っている人であれば、それは生き霊という事もありえますので、念のため話を聞いてみましょう。
手口3:「不幸になる」
「このままだと不幸になるわよ!」TVで某占い師の決め台詞を彷彿としそうな言葉ですが、私が実際にいわれた言葉でもあります。
私の場合はこの後波動修正にお金を払ってしまったのですが、一般的にはこの手法で壺やお札を購入させるといった展開へ発展する事が多いようです。
一度怖い事を言って、恐怖を植え付けた後、「これくらいのお金で助かるんだから、まあいいか」と相談者の心を完全にコントロールしてしまうというという恐ろしい手口。
バシバシ当たる占い師にこの方法を取られてしまうと、簡単にお金を払ってしまう人が多いのではないでしょうか。
誰しも不幸にはなりたくありませんから、誰しも心が動くキーワードといえますね。
ですから占い師や霊能者からこの言葉が出てきたら要注意です。
手口4:「無料で占ってあげる」…からの
「無料」というのは魅力的なキーワードですよね。
「あなたに今回無料で占ってあげるわ」と未来の事を占われ、「これは悪い結果ね。どうすればいいのか、もう少し上の神様に聞いてみてあげるから10万円支払ってくれる?」。
はじめは無料だったはずなのに、なんだかんだ理由をつけて結果的にものすごい金額を払う事になってしまった…!
というトラブルも消費者センターには沢山寄せられています。
タダ程怖いものはないというのは本当で、「はじめは無料だけど、次回からは5万円」という施術もあります。
無料の分では十分ではなく、必ずオプションや有料のコースを組まなければ結果的に幸せになれないなどという悪徳な占い師に遭遇した事もあります。
無料でやってあげると言われた時は、十分注意する必要があるのです。
なぜならこの「無料でやってあげる」という言葉で、すでにあなたは占い師なり霊能者にプラスのイメージを抱いてしまっているから。
「タダならやってみるか」「無料でいいなんて、本当に効果があるものなんじゃ…」という期待を無意識のうちに抱いてしまっているのです。
無料と言われればまず警戒。それは占いや霊能者と対峙している時こそ注意するポイントなのかもしれません。
手口5:家族の情報を調べ上げていた!!
とんでもない詐欺パターンもありました。
それはあらかじめ興信所などを使って個人情報を調べたり、家族の情報を探ったりするという恐ろしいパターン。
つまり、あなたは丸裸にされた状態で占い師の前に座っています。
占い師はあらかじめ興信所が作ったレポートを暗記しておき、涼しい顔でそれを口にする。それだけで、あなたは占い師の事を「全部当たってる!本物の占い師だ!」と信用してしまう事でしょう。
そうなればもう占い師の手のひらの上に鎮座しているのと同じ事です。
あなたはもう搾取されるのを手をこまねいて待っているのと変わりありません。
このやり方はある程度回数を重ねて占いをしている「常連さん」に起きやすいトラブル。
占い師はあなたの本名だけでなく、生年月日も知っている上に、大体の住まいも質問しているのかもしれません。
それだけの情報がわかれば、興信所に赴いて、詳細なデータを得る事は造作もない事。
うまく口車に乗せられて、不要な情報まで喋ってしまわないように注意する事が自己防衛につながります。
手口6:「あなたは運がいい!まだ間に合うわ!」
次に多いのがこれ。
「あなたは私に出会ったからもう大丈夫。今から波動修正をすれば、まだ間に合うわ!」といった、ギリギリセーフ商法。
もし、占い師もしくは霊能者の元へくるのがあと1日遅れていたら……。あなたは取り返しのつかない不幸の連鎖に落ちていた、と言われたり、本当は私、今日予定があったんだけど、なんとなく胸騒ぎがしてお店を開けたの。あなたを救えというメッセージだったのねといった、勝手に運命理論というものを巧みに操って、あなたの気を引こうとします。
その目的はひとえに、リミットをつける事であなたに「今やらないと損かもしれない」と思わせること。
崖の下に落ちる寸前に立ち止まることができたという気持ちを生じさせ、その後の商談をうまく行かせようとしているのです。
そのほとんどは占い師の嘘である事が多く、しかし、「崖に落ちるよ」と言われてそのまま進もうなどと思う人などいませんよね。
やっぱり目の前に崖があるという事が気になってしまって、結果、霊感商法の商品なりなんなりを買ってしまうということに……。
このタイプの手口は、そんなに大きなお金は請求せずに、せいぜい千円〜五千円程度のものを勧めてくる小金稼ぎの決まり文句です。
詐欺師サイドはこの時点で儲けなくても良くて、実はここでお金を払った人を自分のカモとしてそっと囲い込むという目的があります。
一度お金を払ってしまうと、相手に付け入る隙を与えてしまうのと、「この人はこういうパターンでお金を払う」という成功パターンの情報を与えてしまう事になりかねません。
恋人の復縁をネタにされると弱い、だとか、怖がりだからおばけの話をしたら弱い、であったり、結婚できるというワードに弱いというような情報を与えてしまうと、詐欺師が学習してその後ランクアップした商品を売りつけられる可能性がありますから、注意しましょう。
手口7:「ご先祖様が希望している」
上記に挙げた手口で購買を迫ってくる悪徳占い師や霊能者は、最終手段として「ご先祖様が苦しんでいる」とこちらが見えもしないご先祖様を引き合いに出して交渉してくる事があります。
「お墓まいりをしていないでしょう。ご先祖様はお経がご飯だから、今飢餓状態になっていて、あなたに助けを求めている。それのせいで今運気が乱れているのね」
これは私が実際に「読経代1万5千円」を徴収された詐欺師の言葉です。
確かにお墓まいりをしていなかったし、お腹が空いて助けを求める時に当然怒りもわくだろうし、「ちょっとイタズラしちゃえ」……なんていう気持ちになってもおかしくないかもしれない、と当時20代前半だった私は思ったのです。
しかし、そもそも現代暮らしている私たちに害を与える先祖なんて、存在するのでしょうか。
それに、私がお墓まいりをしなくても、親戚の誰かがまいっているだろうし、それだけで十分だったはず、と今ならわかるのですが、突然そんな事を言われてしまったら、「私がここのところ不幸だったのはお墓にまいっていなかったせいか」と変に解決の糸口が見えたような気になってしまって、すんなりお金を払ってしまいました。
ちなみにその後、運気が回復するかといえば相変わらずの毎日で、私は再び占い師に会いに行く事になります……。
このように、悩みの原因が「ご先祖」にあるという発言は非常に多いので注意したほうが良いかもしれません。
なぜなら、そこら辺の霊が……と聞いても、「ふーん」と意に返さない人でも、「ご先祖様が」と言われるとちょっと気になってしまうのが人情というもの。
特に高齢の方や身内を亡くした経験のある方ならなおさら心を動かされてしまうキーワードといえます。
霊感商法は巧妙!
ここで挙げた以外にも、悪徳霊感商法は様々な手法を用いて消費者からお金をむしり取ろうとしてきます。
それはあなたがちゃんと気をつけているつもりであっても、あの手この手で迫ってくるというやっかいなもの。
なぜなら悪徳霊感商法を得意とする人たちは、人間観察に長けていてあなたの行動ひとつひとつから最も適したキーワードを割り出そうと目を光らせているからです。
すぐに支払わない。一度持ち帰って慎重に考察する。
これが霊感商法にひっかからないための最大のポイント。
ちなみに私は、占い師からの接触で、こちらに紹介した手口のほとんどを体験しています!
そしてその全てに、一切の疑いもなくお金を支払ってまいりました……。その原因はひとえに、「心が弱っていたから」に他なりません。
人を騙すという手口に長けている詐欺師たちはこちらの弱り切った心を察知し、甘い言葉で「自分にすがらせようすがらせよう」としてくるのです。
冷静な判断ができない時は、友人に一度話を聞いてもらうか、私にメールをくださいね。
体験に基づいたこの記事が、一人でも多くの人の役に立ちますように。