今回は占いと"確証バイアス"についての関係性を解説します!
人は無意識に、自分にとっての都合の良い事実ばかりを集めがちです。
ベジタリアンの人は、情報の中に"肉食の不健康さ"を無意識に探して自分の価値観の根拠を強めますよね。
嫌いな人に至っては、その人の「嫌な面」ばかりを見つけてしまいませんか?
それなのに、相手が好きな人だと「悪い所よりも良い所ばかり」に目を向けがちになってしまいますよね。
これは「確証バイアス」といって、人間が自分の考え御証明する事実ばかりに目を向け、偏った情報を正しいと思い込んでしまう心理。
誰もが持っている傾向である確証バイアス。
実はインチキ・詐欺占い師もばっちり使用している心理トリックなのです。
この確証バイアスは日常生活にも使えるため、ちょっと覚えておくと良いテクニックだったりします。
早速ご紹介していきましょう。
確証バイアスを詳しく解説
誰もが持っている危険な傾向「確証バイアス」
人は自分の考えが正しいと思い込みがちです。
なぜなら人は、無意識のうちに自分の考えを立証する根拠ばかりを集めてしまうという性質があるからです。
例えば、農薬が体に悪いと信じ、オーガニックの野菜ばかりを食べている人がインターネットを使用すると「農薬が体に悪い」という記事ばかりを見つけてしまいます。
そして「農薬は体に悪いが微量なのでそんなに問題視することはない」という記事には目もくれません。
「農薬は体に悪いんだ!」
と思い込んでいることで、無意識に自分の意見の正しさの根拠となる方法を見つけようとしてしまうのです。
そして、その意見に対する反証情報をあまり見ようとはしない傾向にあります。
これが確証バイアスと呼ばれる現象です。
「幸運を引き寄せるブレスレット」の場合
分かりやすく例えてみましょう。
あなたが「幸運を引き寄せるブレスレット」を購入したとします。
ただのブレスレットではありません、TV二も出ている人気占い師が念を込め、数か月前から予約をし、結構高いお金を出して購入しました。
良い値段したんだし、苦労して手に入れたのだから効果がある。
いや、あって欲しい!(無駄なお金を出したと感じたくない!)
と感じるのではないでしょうか。
そうすると、日常の感じ方も全く違うようになってきます。
いつも混雑してる電車の中、目の前の席が突然空いた時。
臨時収入があった時。
好きな人が笑顔で話しかけてくれた時。
このような幸せな事があった時に、
「やっぱりこのブレスレットのおかげだった!」
と思ってしまいますよね。
「買って良かった!」と自信をつけ、間違ていなかったと思うはずです。
でも実際...。
この偶然はブレスレットを買っていたから引き起こされたという証拠はありません。
よく考えたらブレスレットを買っていない時でもそういうラッキーな偶然はあったのかもしれません。
ブレスレットを飼っていない時は「ああラッキーだな」と思ってしまうことかもしれませんよね。
でもブレスレットを高いお金で購入したのですから、小さいラッキー一つ一つに注目し、「ご利益があった」という気持ちにさせてしまう。
それが確証バイアスです。
心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「高いお金を出して商品を買わせるとあまりクレームが来ない」という事実
人は損をしたくない生き物です。
なので高いお金を出して買ったものには「買って良かった」という理由を無意識に探してしまいます。
百万円のお札を占い師から購入し、効果が全くなかったとしても相談者(購入者)は「御利益はどこだ」といいことばかり勝手に探してくれるのです。
それでもやっぱり効果がないと不安になった時、占い師は必ずこう言います。
「でも、顔色良いし良くなってるじゃない。効果に自分で気づいていないだけよ。思い出してみて?本当に良い事は何一つもなかった?」
1日の中で1回も良い事が無い日なんて稀です。
それが3日、7日、1ヶ月...という機関になると「良い事が全くない」という日は少ないでしょう。
「100万の壺の効果」を証明するのは難しい。
でもそれと同じくらい「今起きた良い事が100万のお札の効果じゃない事」を証明する事も難しいのです。
高額なお札を購入したおかげで確証バイアスが生まれます。
結局、"ご利益"は購入者が勝手に見出してくれて、占い師はただそれを肯定したり後押しをしてやるだけでいいという、簡単なフォローだけすればいいだけなのです。
占い師からものを買うというのは、ある程度占い師と信頼関係を築いている状況です。
購入金額が高ければ高いほど、占い師を信用している証拠になります。
つまり、商品を信じなかったりクレームを入れるという事は、信頼していた占い師を疑うという事。
そしてその結果信頼で繋がっていた居心地のいい関係が崩れ去るという事。
すなわち、「占い師に見捨てられてしまう」という恐怖感がプラスされ確証バイアスはどんどん強まってしまうのです。
その結果、相談者はたまたまだった幸運を、ますますお札の"ご利益"と関連付けてしまい、過大評価する。
だから占い師の物販は儲かってしまうのです。
身近に潜む"確証バイアス効果"とは
実はこういった占いだけでなく、日常生活の中でも確証バイアス効果は多数出現しています。
よく見る例を3つご紹介しましょう。
広告も確証バイアスを狙っている!?
ある日、あなたは一つのマッサージ機を目にします。
「このマッサージ機気になるなぁ。」と思ってネットで調べてみると良い口コミばかり書いてある。
たまたま見たTVでよく取り上げられたり、使った人がすごく楽そうに映っている...。
さらにCMでも良く見かけるようになり、周りにも愛用者が増えていって...。
この時点であなたはマッサージ機に対していい印象を抱いていますよね。
そうすると、マッサージ機の情報を探したときに悪い口コミよりも良い口コミを信じてしまい、「やっぱりこのマッサージ機を買おう」と決断することになるでしょう。
このように、私たちが身近に感じている広告には確証バイアスの心理が巧妙に組み込まれているのです。
DV男にハマる理由も"確証バイアス"が関係している
確証バイアス効果はDV男から離れられない女性にもよく現れています。
DV男から逃げられない女性というのは、暴力を振るってくる彼であっても「好きでいたい」という気持ちがどこかにあります。
そんな彼、つまり日々暴力を振るう男。
キレると散々暴れまわって自分を追い詰める男が、ある日部屋を掃除してご馳走を作ってくれていた。
そんな出来事があっただけで「やっぱり彼は優しいんだ!」と感じてしまう。
優しい彼の方が本当の彼だと思い込んでしまうのです。
暴力を振るって暴れまわる彼。
ボコボコに殴られてしまった後で「ごめん」と泣きながら謝ってくる彼。
そうすると、「彼には私しかいないんだ。私が見捨てたら彼はダメになってしまう」と理由をつけて彼の理解者になったつもりになってしまいます。
これが確証バイアス効果です。
彼を信じたいと思うあまり、彼を信じられる要素だけを過大評価してしまい、いつの間にか判断力を狂わされてしまっているという状況。
「彼の良い所を探してしまう」でも、いつの間にか「彼は本当にいい人なんだ」という根拠を探し出してしまい、「別れなよ!」という友人の方がおかしなことを言っているかのように錯覚してしまうようになるのです。
シェルターなどへ避難し、本当に冷静に現状を分析できるようにならなければ確証バイアスが解けることはありません。
「病気かも」と思ったら病気の兆候を探してしまう
心気症という現代病がありますね。
インターネットが普及した現代。簡単に知識にアクセスできるようになったおかげで、ちょっとした身体の不調について情報を仕入れることが安易になりました。
しかし、「頭が痛い」というキーワードだけでもあてはまる病気はたくさん出てきます。
しかも検索上位には「脳梗塞」「くも膜下出血」など何やら怖い病名ばかり...。
「もしかしたら...この頭痛は脳梗塞の前兆?」
そう思ってしまう止めに入る情報全てが「自分が脳梗塞の前兆である」という証拠固めのように偏ってしまうことありませんか?
身体に節々が痛く熱が出るだけで「インフルエンザかも!」と思い、ついついネットでインフルの症状を見てしまい、当てはまるともう「自分はインフルかもしれない」という情報ばかりを探してしまう...。
ただの風邪という可能性がある情報を見かけても、「いやいや、関節痛があるのはおかしい」と否定して考えてしまう。
こういった「自分が大きな病気なのかも」という根拠を探す行動も確証バイアスであると言えるのです。
有効に使う確証バイアス技術
マイナスなことがあっても「ポジティブ(前向きに)捉える」それがポジティブシンキングです。
つまり、"前向きなことに繋がる根拠を探し出す"ということ。
例えば彼氏の浮気が発覚して、別れてしまうという悲劇が訪れたとします。
- 「私は全然男運がなくて本当に最悪!もう二度と恋愛なんてしたくない!」
- 「彼の浮気が分かってラッキー。彼と別れられて良かった。」
上記の2パターンに別れるとします。
あなたは②のポジティブな考えである後者を選んだとしますよね。
そうすると、「彼氏と別れたけど新しい出会いがある」と前向きにとらえることが出来るようになり、「やっぱり彼氏と別れて良かった」という思考になります。
これもある意味偏見なのですが、いい方向に行く偏見ですよね。
「私は絶対に幸せになれる」
と思う事で自分がブレることなく、日常生活の中で成功する要素を探すので本当に幸せになれるのです。
引き寄せの法則も同じような理論ですね。
偏見を持つことはよくないと言われますが、逆に良い方向に作用する偏見もあります。
例えば「ムカつく上司だ!」とマイナスの確証バイアスが生じたとします。
それがたとえマイナスの偏見であったとしても「上司を見返してやる!」というパワーに変化して、結果仕事が成功するといういい結果を生み出す成功例。
皆さんも、思い当たるような経験があるかもしれませんね。
物事に対して、「どうせこうだからやめよう」というマイナス思考にするよりも「出来る」というプラスの印象を抱くことで確証バイアス効果を活用してみましょう。
確証バイアスに陥りやすい例
頭を使った後は「確証バイアス」に陥りがち
難しい仕事をしたり、頭を使う事をすると脳が疲れますよね。
そうすると脳にある"情報を正しく客観的に処理するエネルギー"が消費されてしまいます。
いわゆる頭がボーッとしている状況ですね。
そうなると脳が思考力を弱め、「信じたい事だけ信じる」という確証バイアス効果が如実に現れてしまうという結果に。
頭が疲れた時にはゆっくり休憩するのが一番というのはそういう事情も含まれているのです。
電話占いに相談する人は"確証バイアスに陥りやすい"
電話占いに相談をしに来ている人のほとんどは、辛い現実に直面して疲れています。
同じ問題を何度も何度も思考していて、脳がくたびれている状態なのです。
これは確証バイアスに影響されやすい脳の状況になっていると言えます。
「自分に都合の良い事実だけを聞きたい」「確証を得たい」という欲求があるので、それを占い師に見破られてしまうと、さも当てたかのように演出されてしまったりと良いように操作されてしまいます。
ボロボロになっている人ほど、占い師の言葉に注意しなければいけないのです。
批判的思考で詐欺占い師に打ち勝つ!
確証バイアスを利用する詐欺占い師にコントローツされないためには「批判的思考(クリティカル・シンキング)」が必要です。
批判的思考とは、一つの仮説に対して、
- 「これは本当に事実なのか」
- 「思い込みじゃないのか」
と批判し、他の可能性を思考する機会を持つこと。
POINT
自分の中に生まれる反対意見に耳を貸すということが大切なのです。
科学者は確証バイアスを危惧して検証を重ねる
人は「自分の仮説を立証した」と思えば思うほど、反対の意見に目を向けないものです。
しかしそれでは本当に「自分の提唱した仮設が正しいのか」はわかりませんよね。
科学者が何度も時間をかけて実験を重ねるのは「自分の都合の良い事実だけを信じないように」という意味も含まれています。
物事にはたくさんの面があり、こちらから視えている一面の事実の裏にはまた違う事実があるものですよね。
こういったことを認め、ひとつの仮説を「多角的」に検証することで本当の真実を浮かび上がらせることが出来ます。また、冷静さを保ち、より公平な判断を下すことが出来るでしょう。
だから科学者は反対意見や立証が1%でもあれば、何度も何度も違う方向から検証や実験を重ねます。
その結果、より公平な真実を導き出すことが出来るのです。
ですから私たちも一つの事実や仮説を立てた時により多角的にその事実と向き合い、冷静に検証することが自分を守る術となるのです。
最後に
思考的偏見を生み出してしまう確証バイアス。でも「常に批判的な意見で多角的に見る癖をつければ怖がることはありません。
怖いどころか、確証バイアスの心理をうまく自分でコントロールしてプラスの方向に働きかけると、キャリアアップにつながることも。
工夫次第で自分の人生を豊かにすることだってできてしまいます。
誰もが持つ思考の癖である確証バイアス。
詐欺占い師にいいように利用されないように、気をつけましょうね。
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